【ネタバレあり】映画『かがみの孤城』感想 〜「不登校」を主軸とした温かく力強い物語〜

未分類

 こんにちは。雫倉紗凡です。今回は、2022年12月に劇場公開された映画『かがみの孤城』の感想を書いていきます。

あらすじ

 クラスメートからいじめを受け不登校状態となっている中学一年生のこころ。ある日、自室の鏡が不思議な輝きを放ち、こころはその中に吸い込まれてしまう。目が覚めるとそこには大きな不思議な城があり、中にはこころと同じく学校に通えていない中学生達がいた。オオカミさんと名乗る仮面をつけた女の子の案内を受けたこころたち7人は、「見つければ1つだけ願いが叶う」という「願いの部屋」につながる鍵を探索することに。

良かった点

◯「不登校」を主軸とした温かく力強いストーリー

 まず、単純にストーリーがとてもよかったです。感動しました。異世界に片足を突っ込んで新しい居場所や仲間を見つけたりしつつ、一方で現実世界での生活も続いていて、周囲の理解を得ながら少しずつ問題を解決していく。最終的には孤城に関する記憶を失ってしまったこころですが、物語を通して立ち上がることができた彼女の姿に胸を打たれました。

 テーマは「世代を超えた支え合い」だと理解しました。様々な年代から集まった子供達——だということが明らかになったのは終盤ですが——が、手を取り合って痛みを乗り越えていく姿はとても感動的でした。

 不登校児に対する大人達の「理解」も「無理解」も非常にリアリティがあり、特に担任の先生のなんにもわかってない感じは「あああ……」となります。彼との対比も相まって、家庭訪問時のお母さんの毅然とした態度や喜多嶋先生の「あれは、ない」は非常に心強く感じました。

◯キャラクター造形

 特にオオカミさんがすごくよかったです。かわいらしくもあり不気味でもあり、敵か味方かわからないミステリアスな雰囲気がとてもよく表されていました。特にお別れのシーンの口元が映るカットは秀逸。「最後の最後で口が見えた!」と思ったらあくまで無表情を貫くのが非常に印象的でした。

 また、世界観がファンタジックな一方でこころをはじめとする少年少女達の造形・演技には良い意味でアニメっぽさが薄く、「どこかにいそう」だと感じさせるキャラクターになっていました。そのおかげで、「ファンタジーを通して視聴者のリアルな痛みに寄り添う」物語として非常に高い完成度を実現していたように思います。

気になった点:リオンの存在感

 全体的にクオリティの高い作品でしたが、1点気になる箇所を挙げるとすれば、リオンくんの扱いについてです。

 ストーリーの根幹に関わる人物であるにもかかわらず、映画だけを見れば全体を通して彼自身の活躍が中途半端であったように感じました。

 「一人だけ学校に行っている」という設定や中盤での意味深な発言などから重要人物として扱おうとしている感じは伝わってきたのですが、結局のところ謎解きにもあまり貢献しておらず、こころや他のキャラクターたちとの絡みにおいても印象が薄くて、振り返ってみると彼の物語としては「消化不良」な印象が否めませんでした。

 彼を含めて孤城の子供達それぞれをより立たせるために、鍵探しや孤城での生活にもう少し尺を割いてもよかったのでは、と思います(逆に、真田さんのエピソードは少し削っても今作のメッセージは十分伝わるでしょう)。

まとめ

 上下巻に渡る大作の映画化であることもあってか、原作をうまく消化しきれていないと感じられる部分もありましたが、総じて完成度が高く、心に残る映画でした。繊細な心理描写も終盤の幻想的な演出も非常に見応えがあり、劇場で鑑賞して良かったです。

 辻村深月作品の持つ独特の力強さはやはり素晴らしいですね。少し時間をおいて原作も読んでみようと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました